あらすじ
ある冬の夜、お母さんと少年は暖炉の火にあたっています。少年は、お母さんに暖炉の火をもっと燃やすようにせがみます。お母さんは、明日また薪を運びに行くから心配ないと答えます。少年は、お母さんの言葉を聞きながら、森から聞こえる管笛の音に耳を傾けます。少年は、笛の音は自分の笛の音を聞いているのだと思い、嬉しくなって笛を吹き始めます。悲しげな音色が夜空に響き渡ります。
お母(かあ)火(ひ)を燃(も)すけえ。
そねえに燃(も)さなくても温(あたた)けえないか。
だって今日(きょう)は寒(さむ)いもの。
寒(さむ)いか、そんだらくべろえ。
明日(あす)、また出(で)て薪(たきぎ)取(と)ってくるわの
そう心配(しんぱい)さっしゃんな。

  * * * * * *

お母(かあ)、燃(も)えたぜ当(あ)たらっしゃい。
汝(われ)、やかましいそげなもの吹(ふ)くなよ。
ごじゅうからがたくさんきていたぜの、
あっちの神社(おみや)の森(もり)にきていたぜの、
ほら鳴(な)いているだろの、
俺(おら)のこの笛(ふえ)聞(き)いて鳴(な)いているだろの?
ふいふいふい
悲(かな)しく鳴(な)る管笛(くだぶえ)。
了

底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
   1977(昭和52)年1月10日第1刷
   1981(昭和56)年1月6日第7刷
初出:「新声」
   1909(明治42)年1月
※表題は底本では、「管笛(くだぶえ)」となっています。
入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班
校正:江村秀之
2013年11月23日作成
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