あらすじ
夕暮れの空に広がる真っ赤な雲。それは、若くして嫁入りをし、海に沈んでしまった乳母の姿ではないかと、語り手は思っています。乳母が身につけた赤い紅や帯、そして履いていた下駄の色が、鮮やかな夕焼け空に映し出されているのです。
あかい雲(くも)、あかい雲(くも)、
西(にし)の空(そら)の紅(あか)い雲(くも)。
おらが乳母(うば)のおまんは、
まだ年若(としわか)いに、
嫁入(よめい)りの晩(ばん)に、
海(うみ)の中(なか)に落(お)ちて、
あかい雲(くも)となった。

おまん、おまん、
まだ年若(としわか)いに、
あかい紅(べに)つけて、
あかい帯(おび)しめて、
からこん、からこん、
げたはいて、
西(にし)のお里(さと)へ嫁(よめ)にいった。
あかい雲(くも)、あかい雲(くも)、
西(にし)の空(そら)の紅(あか)い雲(くも)。
了

底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
   1977(昭和52)年1月10日第1刷発行
   1981(昭和56)年1月6日第7刷発行
初出:「赤い鳥」
   1918(大正7)年8月
※表題は底本では、「あかい雲(くも)」となっています。
※初出時作品名は、「紅い雲」です。
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校正:本読み小僧
2012年8月7日作成
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