あらすじ
冬の晴れた朝、小学生が通学路を歩いています。そこに上級生が現れ、並んで歩き始めます。二人は無言で、冬の朝日を浴びながら進んでいました。すると、上級生が突然奇妙な声を上げ、桜の根本を指差します。そこには何もありませんでしたが、上級生はにこやかに笑いました。突然、上級生が頓狂な声をあげた。
「あ、驚いた。あそこに今、蛸がゐるのかと思った。」
さう云って上級生は桜の根本を指差した。しかし、そこには日向のほか何もない。上級生は急に目が覚めたやうな顔つきでにっこり笑った。
了
底本:「普及版 原民喜全集第一巻」芳賀書店
1966(昭和41)年2月15日
入力:蒋龍
校正:小林繁雄
2009年6月18日作成
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