あらすじ
穏やかな海の丘で、一人の男が瞑想にふけっていました。彼は海の色と空の色が一体となる景色を眺め、暖かい日差しを浴びながら、何かを深く考えていました。彼の心には解き明かしたい感覚があり、彼は塩気を帯びた空気を吸い込み、吐き出すことを繰り返していました。やがて、男は意味もなく口ずさみ始めます。そして、温度の違いによって動く永遠に止まらない時計が発明されたことを知った時、彼は奇妙な感情に襲われるのでした。――時間とは温度のことか。
それから大分後のことではあるが、彼は温度の相違に依って動く永久に停まらない時計が既に発明されてゐるのを識って急に変な気持がした。そしてその機械が自分より偉大な感覚を持たされてゐるのを意ふと、一そう変な気がした。
了
底本:「普及版 原民喜全集第一巻」芳賀書店
1966(昭和41)年2月15日初版発行
入力:蒋龍
校正:伊藤時也
2013年1月24日作成
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