あらすじ
信州の山奥に暮らす「私」は、寝たきりで世話の焼ける「私」に寄り添う妻に感謝の気持ちを抱いています。妻の母方の祖父は、明治時代に静岡で牧師をしていた土屋彦六で、その祖先は有名な義士・土屋主税だといいます。妻は、香港や広東で幼少期を過ごし、東京のミッションスクールで寄宿生活を送ってきたため、こうした家系の話をなかなか理解できないようです。しかし、「私」は、妻が長年、信州の山奥で「私」の面倒を見てくれていることに心から感謝しています。もう足かけ九年、こんな信州の山のなかにこもつて、何ひとつ厭な顏をせず、寢たつきりの、めんだうな私のおつきあひをして貰つてゐるのは、なんとしてもありがたいことだ。
了
底本:「堀辰雄作品集第四卷」筑摩書房
1982(昭和57)年8月30日初版第1刷発行
初出:「週刊朝日 第五十七巻第十二号」
1952(昭和27)年3月23日
入力:tatsuki
校正:染川隆俊
2010年3月5日作成
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