あらすじ
厳しい冬のシベリアの森。ランプの灯りがともる小屋の中で、木の実や苔、白樺などを使って、小さな人形が作られています。それは、森の住人である木こりや娘、妻たちが、厳しい寒さを乗り越え、春の訪れを待ち焦がれる気持ちを表した、愛らしい「苔人形」です。人形は、春になれば、コペイカ銅貨と交換され、貧しい森の住人の暮らしを支える大切な役割を担います。
苔人形は
つくられた、
木の実や苔や
白樺で。

ランプのかげに
つくられた、
シベリア樅の
森のかげ。

いろんな顔に
ゑがかれた、
ほだの消えてく
寒い夜に。

こつこつこつと
けづられた、
木こりや娘や
妻たちに。

赤いシヤツポも
つけられた、
春に売られて
行くやうに。
コペイカ銅貨に
なるように。

そして貧しい
森かげの
きこりが暮して
行くように。

苔人形は
つくられた、
吹雪の音を
ききながら。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「チチノキ」
   1932(昭和7)年8月
初出:「チチノキ」
   1932(昭和7)年8月
入力:菅野朋子
校正:noriko saito
2010年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。