あらすじ
作者自身の思いを込めて、新しい演技を組み立てた舞台です。俳優の試験的な演技から、演出家の緻密な指示が生まれ、舞台は新たな可能性へと発展していきます。しかし、演出家は病気のため、稽古を十分に見ることができず、更なる発展を期待しながらも、作品に対する強い思いを表明しています。最初は、俳優に試験的にやらしてみましたが、演つてゐるうちに色々と私の註文も出て来る。そして、その註文も或る所までは果されて行くことが分りましたから、この分で行けば、私自身がもう少し勤勉になつて、色々註文が出せたなら、可成りな所まで、演出の効果を挙げて行くことが出来るとおもひました。
相憎、途中で病気に掛つたりして、稽古はほんの二三度しか見ることが出来ませんでしたが、もう少し丁寧に見ることが出来たなら、もつともつと良くなる望みがあると思ひます。
兎も角も、今度の演出によつて、われわれは、われわれの俳優の演技といふものに対して、嘗て考へてゐたよりは広い希望を持つことが出来ました。これは非常に喜ばしいことだとおもひます。
了
底本:「岸田國士全集20」岩波書店
1990(平成2)年3月8日発行
底本の親本:「演劇新潮 第二巻第七号」
1927(昭和2)年7月1日発行
初出:「演劇新潮 第二巻第七号」
1927(昭和2)年7月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2006年2月20日作成
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