あらすじ
舞台は、画家の世界。ある人物のせりふが、ふたつの解釈を生み出します。画かきではあるけれど、画かきらしく見えないのか。それとも、画かきと名乗っているものの、実際は違うのか。戯曲を読む者は、その意味の違いに気づくでしょうか。それとも、ただ言葉を受け止めるだけなのでしょうか。このせりふは、言葉の奥深さと、解釈の多様性を問いかけます。このせりふの言ひ方が二た通りある。
画かきではあるが、画かきらしく見えない、といふ意味を表はす場合と、画かきだといふけれど、実際は画かきではなからう、といふ意味を表はす場合と。
しかし、戯曲を読むものは、そこまで気をつけて読んではくれないらしい。
気をつけるかつけないかの問題ではない。戯曲を耳で感じるかどうかの問題である。
意味ぐらゐ取り違へてもかまはない。――わからないことを白状しさへすれば。
了
底本:「岸田國士全集20」岩波書店
1990(平成2)年3月8日発行
初出:「手帖 第一巻第四号」
1927(昭和2)年6月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月6日作成
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