あらすじ
戦後、新しい時代を迎えた日本社会で、宮本百合子は「廃したい弊風」と「永続させたい美風」について深く考察しています。人間の傲慢さや利己心から生まれた過去の過ちを繰り返さないこと、そして、宇宙の力を感じ、謙虚さと慈悲心を持ち、他者の苦しみを理解し助けようとする精神こそ、未来へと繋がる大切な価値観であると訴えています。自身の経験と深い洞察に基づいた彼女の言葉は、時代を超えて読者の心に響き、現代社会における人間の生き方を問い直す力強いメッセージを発信しています。
 一、人間があまり太平すぎて、独占的であり、自己中心であったことから生じた種々のこと、例ば贅沢を高貴と考え違えたような多くの事実を以後繰返したくないと思います。
 二、本当に人間の小怜悧さ以上のものの力が宇宙に充満していると直感した心の素直さ謙遜さ、無慾さ、それによって他人の欠乏苦痛を正直に考慮し助力しようとする智慧。
〔一九二三年十一月〕

底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「婦人世界」
   1923(大正12)年1月号
※底本の「解題」(大森寿恵子)は、この作品名を「仮題」としています。
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
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