あらすじ
地方文化・文学運動は、若い人々の自主的な活動として発展していくことが難しい現状にあります。地方の文化ボスや文学ボスに引き寄せられ、彼らの影響下に置かれるケースも少なくありません。また、地方主義や地方英雄主義に陥る危険性も孕んでいます。宮本百合子は、地方文化・文学運動が、真に人民の自主と文化反動への抵抗となるためには、これらの問題点を克服し、現実の複雑な日本の地方生活に寄り添う必要があると訴えます。
 各地方の文化・文学運動がこれまで経験したむずかしさの中で一番主なものは、ほんとに若い人々の自主的な活動として成長しにくく、何かのことでその地方の文化ボス、文学ボスのまわりに吸いよせられてしまうことではないでしょうか。九州での文学運動の経験のように。同じことはその地方の民主団体がセクト的である場合にもおこりがちです。
 地方主義、地方英雄主義にならないで、これからますます現実の複雑になる日本の諸地方生活のために、人民の自主と文化反動への抵抗となってゆくべきと思います。

底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年6月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
   1952(昭和27)年1月発行
初出:「群馬文学」
   1950(昭和25)年第2号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月14日作成
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